星や惑星の誕生現場の研究: 太陽系や地球は、どこでどのように誕生したのか

太陽や地球は、宇宙のどのような場所でどのように誕生したのでしょうか。多様な星や惑星が宇宙には存在しますが、いったいどのようにして誕生するのでしょうか。
星が生まれる領域は「星形成領域」と呼ばれます。しばしば、「星雲」として紹介されています。上の図はそのイメージイラストです。たとえば、オリオン大星雲やおうし座分子雲が有名です。
また、惑星が生まれる場所も雲であり、円盤のような形をしていることから「原始惑星系円盤」と呼ばれています。下の図はそのイメージイラストです。

現在、巨大望遠鏡をはじめとした最新の観測によって、若い星や惑星の誕生現場の研究が急速に進んでいます。たとえば、原始惑星系円盤がどのような姿をしているのかが、実際に望遠鏡で撮影されているのです。
宇宙には、こういった星や惑星の生まれる場所がたくさんあります。それらの中には、昔の太陽系に似たものも存在しているでしょう。それらを詳しく観察することによって、太陽系の起源や進化を追うことができます。
「第二の地球」といった他の地球型惑星の誕生現場を、実際に望遠鏡で観察することが大きな目標となっています。
さらに、太陽系には地球以外にも、火星や木星といった様々な惑星が存在していますが、それらの惑星の起源や進化の手がかりも得られるわけです。
そして、どうやら若い惑星の誕生が、惑星の誕生現場、つまり原始惑星系円盤に影響しているようなのです。
若い星や惑星が生まれる環境について、理論物理の観点と望遠鏡による観測の両面から研究を進めています。
若い星の周囲の塵のリング
HR 4796 A という若い星の周囲に、塵のリングが非常にシャープに撮影されました。左右のずれや細かい構造が見えています。このリングは「残骸円盤」と呼ばれるものです。惑星のきざしが示唆されます。すばる望遠鏡による非常に高いコントラストの観測です。査読付論文誌に受理された国際的な共同研究です (SEEDSプロジェクト)。
- 論文: C. Thalmann et al. "IMAGES OF THE EXTENDED OUTER REGIONS OF THE DEBRIS RING AROUND HR 4796 A", The Astrophysical Journal Letters, 743巻, L6 (6pp), 2011年
おうし座の若い星を取り巻いている円盤状の雲の近赤外線観測
おうし座にある若い星(名前:LkCa 15)を取り巻いている円盤状の雲の観測成果が得られました。この円盤には大きな穴のようなものがあることが示唆されました。惑星の誕生が原因である可能性があります。
すばる望遠鏡に設置された新型装置HiCIAOを用いた、円盤観測の最初の成果です (SEEDS プロジェクト)。査読付論文誌に受理された国際的な共同研究です。理論面から解釈と議論に貢献しています。
- 論文: C. Thalmann et al. "IMAGING OF A TRANSITIONAL DISK GAP IN REFLECTED LIGHT: INDICATIONS OF PLANET FORMATION AROUND THE YOUNG SOLAR ANALOG LkCa 15", The Astrophysical Journal Letters, 718巻, pp.87-91, 2010年