数式を用いた理論宇宙物理学の研究


宇宙物理学の方程式(数式)イメージイラスト

理論物理学で学んできたことを基に、宇宙物理学における理論面での基礎的な研究を進めています。

数式を用いた解析的な手法は、最新の観測結果の理論的解釈や、コンピュータによるシミュレーション結果の吟味や性質の理解の不可欠な基礎にもなっています。


線形解析を用いた星間物理における熱不安定性

星・惑星形成領域や星間物理学において重要な物理的基礎過程である熱不安定性を詳しく調べました。磁場の影響を考慮に入れながら、電離成分と中性成分からなる2相流体の線形解析を行いました。主な結果として磁場中での各相間の摩擦の効果は、小さな構造を生み出す可能性を示しました。

  • 論文: T. Fukue and H. Kamaya “Small Structures via Thermal Instability of Partially Ionized Plasma. I. Condensation Mode”, The Astrophysical Journal, 669巻, pp.363-377, 2007年

塵粒子の整列下での円偏光生成に関わる相関関係式

非球対称な塵粒子が磁場などの影響で整列している場合に円偏光が生成されることがあります。星形成領域のモデルに対してこういった円偏光生成機構が働く場合の、観測結果と比較できる相関関係式を導出しました。その式と観測結果とを比較しながら円偏光のメカニズムを調べました。

  • 論文: T. Fukue et al. “Near-Infrared Circular Polarimetry and Correlation Diagrams in the Orion Becklin-Neugebauer/Kleinman-Low Region: Contribution of Dichroic Extinction”, The Astrophysical Journal Letters, 692巻, pp.88-91, 2009年

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